波動方程式から回折現象を導く その1

こんにちは.
もはや月1回の更新がデフォルトになってしまっているが, 久しぶりに進捗が生まれた気がするのでその結果をここにまとめておく.

今回はKirchhoffの積分定理 (en.Wikipedia: Kirchhoff's diffraction formula) という回折現象を数学的に正しく記述する式を, 波動方程式から導出したい.
回折現象はHuygensの原理(Wikipedia: ホイヘンス=フレネルの原理) から一応は定性的に説明されるのだが, どうにも(個人的に)好きになれないからである.
今回の記事は主に[1]を参考にした.

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変則ナイトで盤面を駆け回る

大学院の入試があったので久しぶりの更新となってしまった.
今回は変則的な動きをするナイト(変則ナイト)がどのような動きをするならば, この変則ナイトで盤面上を駆け回れるかを考える.
参考までにナイト(チェス), 変則チェスのwikipediaのリンクを張っておく:
ナイト(チェス), 変則チェス.
この記事では盤面の広さを \infty\times\infty とし, ナイトの初期位置は原点 (0,0) にとる (通常のチェスの盤面の広さは 8\times8 で, ナイトの初期位置は (2,1), (7,1), 相手方なら (2,8), (7,8) である).

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図1 通常ナイトの動き 図2 変則ナイトの動き
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偏光状態の変化 その2

前回()は光の反射角および屈折角を導出した.
それによると反射角および屈折角は光の偏光状態には依存せず, 特に反射角は入射角のみに依存する (これは今回の話とは関係ないのだが, もちろん屈折角は光の波長などには依存する).
しかし反射光および透過光の振幅は偏光状態に依存する.
今回は一般の条件下で反射率と透過率を求めたのち, 屈折角が定義できない状況での透過光を議論する.

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偏光状態の変化 その1

「光学(optics)」とは, 光にはどういう性質があるか?, また光と物質はどのような相互作用をするか?を取り扱う学問である.
光学には電磁気学量子力学と密接な関連があるが, ぼく自身そんな難しいことはわからない.
まあこの記事の続きを書くことをモチベーションに追々勉強したいということで, 今回はFresnelの式 (Wikipedia:フレネルの式) について…
と思っていたのだが, かなり長くなってしまったので途中のSnellの法則まで.

追記 2017/6/28に大幅に修正した(参照).

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電子ビームを収束させる(アインツェルレンズ)

今回は, 静電レンズ(Wikipedia: 電子レンズ)のうち, 特に「アインツェルレンズ(Einzel lens, en.Wikipedia: Einzel lens)」 と呼ばれるものについて書きたいと思う.
このようなものを考える動機については, 電子ビームを曲げつつ収束させる を読んで頂きたい.
アインツェルレンズは, 荷電粒子を加速せず, 向きも変えずに収束させるレンズである.
今までの「境界値問題」と題した記事は, すべてこの記事のためにあったと言ってもよい…

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3次元の静電位 その1(境界値問題3)

今日は3次元空間における電位を求めたい.
1ヶ月ほど前に, コンデンサの端での電位について少し触れた().
しかしそのときは各位置での電位は詳しくは必要なかったし, それ以外の部分をテーマにしていたので, 電位の求め方はかなり適当だったと思う.
そこで今回はこの, 平行平板コンデンサの電位について詳しく議論したい.

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